トリアージ

とは、患者の分類手順である。患者の重傷度によって分類する。最初に処置をされる最も優先順の高い患者を見つけるこ とである。
トリアージ分類の多くの種類をもつ、異なるトリアージ・システムが開発されている

ここで述べるのは、34分類のSTARTと呼ばれるシステムである。STARTは、Simple Triage And Rapid Treatmentの意味。
 
     START System: Simple Triage And Rapid Treatment:単純なトリアージと迅速処置のための被害者の分類システム

 STARTシステムは、数の多い患者を素早くトリアージし、処置するには有用である。 
 ほんの限られたメディカル・トレーニングが必要で、患者1人に対して60秒以内で終わる。


 1.優先順位1 − 赤色タグ −直ちにケアが必要:命に関わる 
            □ 気道や呼吸の困難、コントロールできない、大量出血、精神状態の低下

 2.優先順位2 − 黄色タグ −早急なケアが必要:1時間以内
            □ 反応がある患者で、気道に問題のないやけど;激痛や多重痛、腫れ、四肢の変形;
              背中の損傷;反応があり呼吸や循環器系に問題の無いが、重傷の患者。

 3.優先順位3 − 緑色タグ −ケアが遅れても良い/患者は歩くことが出来る:3時間以内
            □ 反応のある患者で、軽度の痛み、腫れ、四肢の変形、軽度の軟組織損傷

 4.優先順位4 − 灰色または黒色タグ −死亡している/ケアの必要は無い
            □ 明らかな死亡、生存の見込みが無い

   多数の患者のいる複雑な現場で、 “Walking wounded/歩けるけが人”と呼ばれる軽傷患者には、
     彼らが介助なしに歩けるなら、歩いて指定された場所に移動するように言う。彼らは、優先順位3とトリアージされる。
     緑色タグ。

  ⇒ 次に、残りの患者をトリアージする。60秒以内に終了すること。

  ⇒ STARTシステムは、患者の呼吸、血液循環、精神状態を評価して、トリアージ分類をする。
     あなたの仕事は,優先順位1の患者を探し出すこと−このような患者は直ちに処置が必要.
     このような患者を検査して,命に関わる気道や呼吸の問題を是正し,赤色タグを付ける,そうして,次に移る!

  ⇒ できるだけ早く、患者にタグを付ける。全員に付け終ったら、優先順位1の患者からケアを始める。

START
単純なトリアージと迅速処置システム(START)は, 3つの主要な観察(呼吸,血液循環,精神状態(BCM))に基づき, FirstResponderはトリアージに患者1人に対して60秒以内でおこなう.このシステムは,First Responderに気道閉塞の開放や大出血の止血を迅速に行うことも認めている.

Breathing/呼吸
 もし、患者が呼吸していたら、呼吸レイトを測る必要がある。1分間に30以上の呼吸数がある場合は、優先順位1の赤色タグを付ける。このような患者はショックの主要なサインを示していて、出来るだけ早く処置が必要である。呼吸数が1分間に30以下の場合は、60秒以内で血液循環と精神状態を観察する。呼吸が無い場合は、口の中の異物を素早く取り除く。ヘッドチルト・テクニックで気道を開ける。多くの犠牲者がいる場面では、トリアージの際の気道開放に頚椎損傷ガイドラインは無視しなければならないかもしれない。あなたに全ての負傷患者の脊柱を適切に固定する時間が無いときには、緊急処置(応急処置)においては、この時間が唯一の時間である。気道を開放し、気道を確保し、―もし,患者が呼吸していれば−優先順位1の赤色タグを付ける。気道確保の援助の必要な患者は優先順位1(赤色)である。患者に呼吸力があるかどうか疑わしい場合は、優先順位1のタグを付ける。呼吸がなく気道開放の単純な方法で呼吸が回復しない場合は、優先順位4(黒色タグ)を付ける。

Circulation/ 循環
 第二番目のBCMトリアージ・テストは,患者の血液循環である。血液循環のチェック方法のベストは、頚動脈の確認である。
頚動脈パルスは心臓に近いので、大きく容易に感じることが出来る。人差し指と中指を喉頭部に置き喉頭と首の筋肉の間の溝にスライドさせる。5秒から10秒でパルスレイトを測る
頚動脈のパルスが弱く不規則であれば、優先順位1(赤色)タグを付ける。頚動脈パルスが強ければ、BCMの第3ステップである精神状態を観察する。
 頚動脈パルスが弱い患者はショック状態であるので、脚を上げできるだけ多くの血液が脳や肺や心臓に帰ってくるようにする。そうして、大量出血を止める。あなた自身で出血のコントロールに時間を取られないようにする。優先順位3(緑色)患者の手助けを頼む。このような患者は緊急処置に対して熱心に手伝ってくれる。パルスがなければ,優先順位4のタグを付ける。

Mental Status/精神状態
 最後のBCMトリアージ・テストは,患者の精神状態である。呼吸や血液循環が十分である患者にこの観察はなされる。声に反応するか最初に判断する。次のような簡単な指示をする“目を開けてください”、“目を閉じてください”、“私の手を握ってください”。このような単純な指示に従え、呼吸も循環も十分であれば、優先順位2(黄色)タグを付ける。AVPUスケールによると、このような患者は“警戒”状態、または、声に“反応”すると考える。
 このような
単純な指示に従えない患者は、AVPUスケールでは、声の刺激に“反応なし”である。このような患者は,優先順位1の赤色タグである。

多くの救助隊員が現場に到着したら、患者は再トリアージされ詳しく評価され処置されて搬送される。覚えておかなければならないのは、損傷患者は同じ状態であるとは限らないということである。ショックの過程は続き、時間と共に状態はより悪化する。時間と資源が許されるなら、優先順位23の患者を再チェックし状態変化を捉えると優先順位が1になっているかもしれない。